「えっ?医大?」

ここいら辺に、大学自体ないものですから、自然に都会へ出て行くものだと知りました。

もう和弥に会えないかもしれない。

そう思うと、途端に会いたくなりました。


家に帰って、家族皆に、和弥の事を話したんです。

「それは、よかったね。」

「お兄さん、優秀なんだね。」

兄妹も皆、喜んでくれましてね。

「卒業式、加恵も行ってごらんよ。」

悟志さんも、嬉しそうにそう言ってくれたんです。

私は卒業式の日を、心待ちにしていました。


そしてその日が、とうとうやって来たんです。

「加恵、これを着て行くといい。」

悟志さんが差し出してくれたのは、新しい着物でした。

「まあ、こんな立派な着物。どこから?」

「新しく買ったんだよ。」

「ええ?」