その後、私と悟志の間には、亜子と言う女の子が生まれました。

もちろん、亜子にも「和弥という兄さんがいるんだよ。」と教えました。


ある日、夫の実家の近所の人と出会い、和弥がこの春高校を卒業し、医大に進む事を知ったんです。

「ああ、伊賀さんの奥さん。」

「お久しぶりです。」

その方は、結婚式にも来てくれた方でした。

「そう言えば、奥さんって、林の向こうの高坂さんの家から、お嫁に来たんでしょう?」

「え、ええ……」

高坂の家まで知ってるなんて、ドキッとしましたけどね。

「その高坂さんの家の坊ちゃんが、高校を卒業するって、聞いてます?」

「いえ……」

もうそんな歳なのかと、思ってもいましたけどね。

「坊ちゃん。医大に進むらしいですよ。」