「ねえ、悟志さん。和弥はひと月すれば、こちらに来るんですよね。」

繋がれた手が、私の手をぎゅっと締め付けた。

「悟志さん?」

「……すまない。」

私はハッとしました。

このまま、和弥と生き別れになると。

私は、つないだ手を放しました。


「加恵?」

「嘘つき!」

そう叫んで、高坂の家に帰る事にしたんです。

話が違う。

和弥と別れるなんて、そんなの許せないって。


だけど急いで走った為か、途中で足がもつれてしまって、転んでしまって。

そこを悟志さんに捕まったんです。

「加恵、落ち着け。」

「嫌です!和弥!和弥!!」

遠くで、和弥が私を呼んでいる気がしました。

「和弥あああ!」

叫びにも似ていました。

とにかく名前を呼ぶ事で、少しでも和弥に近づきたかったんです。