私は和弥の前に、膝間づきました。

「和弥。直ぐに迎えに来るからね。」

「うん。」

その返事を聞いて、私は立ち上がり、悟志さんの元へ行きました。

「もういいかい?」

「ええ。」

すると悟志さんは、私の手を繋いでくれました。

なんだか恥ずかしくて、うつむきながら二人で微笑み合いました。


全てが上手くいっている。

そう思っていました。

伊賀の家に行って、悟志さんと結婚して、しばらくしたら和弥も来て、親子三人幸せに暮らせるのだと思いました。


高坂の家から伊賀の家には、林の中を超えて行かなければ、いけませんでした。

緩やかな坂道を真っすぐ昇って、林の方に曲がった時でした。

遠くに見える、小さな点にしか見えない和弥を見て、私は急に不安を覚えたんです。