そして、私が結婚の為に家を出る日がやって来ました。

「今までお世話になりました。」

「伊賀の家に行っても、元気に頑張るんだよ。」

「はい。」

夫が亡くなってから、実の娘のように可愛がってくれたお義父さんとお義母さん。

私はこの家から嫁ぐのが、一つの喜びでした。


「和弥ちゃんの事は、心配しないで。私達がちゃんと面倒見るから。」

「はい……」

なんだか不思議な気持ちになりました。

1か月後には、和弥を迎えに来ると言うのに。


そして悟志さんがやってきて、私はいよいよ家を出ました。

「では、和弥君をお願いします。」

「はいよ。」

悟志さんも和弥の事を心配そうに言っていました。

「さあ、行こう。加恵。」

「はい、悟志さん。」

振り返ると、お義父さんとお義母さんと一緒に、和弥が玄関に立っていました。