そんなふうに働いている中で、知り合ったのが、今の夫でした。

名が、伊賀悟志さんと言う方で、一緒に役場で働く同僚でした。


「今日は、和弥君来ないの?」

人一倍、和弥の事を可愛がってくれて、聞けばまだ独身なのだと言っていました。

若い時にお見合いした事はあるのだけれど、話が流れてそれっきりと。

子供がいない分、和弥の事を本当の子供のように、思ってくれたんでしょうね。


そんなある日の事でした。

「高坂さん。帰り、送るよ。」

そう仰ってくれて、和弥と私を家まで送ってくれた事があったんです。

お互いの身の上話に、子供の話までして。

伊賀さんにとっては、あまり楽しそうなお話ではないと思っていたんですけどね。

何日か経った時には、伊賀さんが私達を家まで送る事が、日課になっていました。