まだ若い時に、夫を亡くした私を、お義父さんとお義母さんは、相当気遣ってくれました。

「加恵さん。あんたまだ若いんだし。死んだ息子を忘れて、新しい人と一緒になる事を考えた方がいいよ。」

私は、和弥の手を握りました。

「再婚は、考えていません。和弥と一緒に、この家に置かせて下さい。」

そう言って、お義父さんとお義母さんに、頭を下げました。

再婚したって、相手の男性が和弥を大切にしてくれるかなんてわからないし、何よりも初恋だった夫を忘れる事ができなかったんです。


「それならここにいてもいいけれど、息子の遺産では、家族4人食べて行くのがやっとだよ?」

私は、頭を振りました。

「私が、外に出て働きます。和弥もお義父さんお義母さんも、私が養います。」

そう決心しました。