今の夫と知り合う前。

私は、夫の実家で暮らしていたんです。

「加恵と申します。今日から宜しくお願いします。」

まだ若いみそらで結婚した私を、義理のお父さんとお母さんは、温かく迎えてくれました。


しばらくして、息子の和弥が生まれて、私達は幸せな生活を送っていました。

「和弥、和弥。可愛いなぁ。」

夫はご煩悩で、いつも和弥を可愛がってくれました。

少し大きくなって、一人で歩けるようになった時も。

もう少し大きくなって、散歩に行けるようになった時も。

もっと大きくなって、小学校に入学した時も。

夫は、和弥を可愛がってくれて、こんな生活が、ずっと続いていくのだと、思っていた矢先でした。

夫が、脳卒中で倒れて、そのまま亡くなってしまったんです。