「ああ、一緒に行ってもいいか?」

「いいよ。」

僕は立ち上がると、司と一緒に部屋を出た。


「今日行くのは、目の手術をした患者だ。」

「白内障か?」

「ああ。今日はまだ包帯をしているけれど、明日には取れるんじゃないかな。でも難しいオペだったよ。半分手遅れだったんだ。でも、生き別れた息子の顔を見たいって、難しいオペに臨んだんだ。すごいよな。」

「なるほど。それはすごいな。」

部屋を出て、2階へ上がり、真ん中の部屋に入ろうとした時だ。

「高坂先生、この患者さんの事ですが。」

「ああ。」

病室に入る前に、看護婦に呼び止められてしまった。

「先に入ってるぞ。」

「ああ。」

僕はカルテを見ながら、看護婦に一つ一つ丁寧に、患者の事を指示した。