その想いが届いたのか、僕は高校を卒業して、大学の医学部への進学を決めた。

一番に喜んでくれたのは、祖父母と誰でもない、黒岩先生だった。

「奨学金は、大学にでもあるはずだ。申請してみるといい。」

「はい。」

通るかどうか分からなかったけれど、通りそうな気はしていた。

この時は、自分が貧乏かどうかなんて、関係なかった。

嫌、考えようとしなかったんだと思う。

自分が惨めにならない為にね。


それが否応なしに、自分が貧乏だと思い知らされた時があった。

それは、高校の卒業式だった。

貰いものの制服は、卒業の頃には、ボロボロになっていた。

僕は気にしていなかったけれど、それをなじる者もいてね。

あの、卒業式でもそうだった。