「よかったね、和弥ちゃん。」

祖母も喜んでくれて、何度も何度も、黒岩先生に頭を下げていた。


その日、内職の仕事を納めに行っていた祖父も、その話をすると喜んでいた。

「黒岩先生には、感謝しても感謝しきれないな。和弥。このご恩は、忘れちゃあなんねえぞ。」

「うん。」

僕は、黒岩先生に貰った制服を見ながら、新しい学校生活を夢見ていた。


だけど、上手くいかなかったのは、偏に僕の家が貧乏だったからに違いない。

毎日の弁当も、おかずも少なく、それを気にしてか、友人もまずできなかった。

近所の奴で、同じ高校に入学した奴らからは、『あいつの家は、貧乏だ。』と、馬鹿にされる毎日だった。

それでも僕は、勉強を頑張った。

頑張る事で、未来が切り開かれると、思っていたからだ。