「本当ですか!」

僕は、奨学金という言葉に、心が躍った。

「もちろん、奨学金を受けるには、成績優秀でなければいけないが、高坂君なら、問題ないだろう。」

この時ばかりは、真面目に勉強をしていて、よかったと思ったよ。

「審査に時間はかかるが、まず受かると思ってていいだろう。」

「やったあ!」

僕は、喜びを全身で表現して、まずは高校に行ける事を、嬉しく思ったんだ。


嬉しさのあまり、審査もまだ通っていないと言うのに、祖父母へはその日のうちに、打ち明けてしまった。

「僕、奨学金を受ける事になったよ。」

「えっ!?」

ぽかんと口を開いている祖父母を前にして、僕は意気揚々としていた。


そして、数日後。

黒岩先生は、奨学金の審査が通ったと、わざわざ家にまで、知らせに来てくれた。