貧しい祖父母の家は、その日食べて行く事でさえ、困難な時があった。

そんな時、僕は成績優秀で、高校への進学ができた。

だけど祖父母にとっては、それでさえ、悩みの種だったらしい。

「どうしようかね、和弥ちゃんの学費。」

「借金しようにも、老人には金を貸してくれないからな。」

寝る前に、祖父母は毎晩考えていた。


それを知っていた僕は、中学の卒業式の前に、お世話になった黒岩先生という人に、それを相談した。

「そうか。学費が出せないと困っているのか。君のおじいさんおばあさんは。」

「はい。僕は、高校への進学を、諦めた方がいいんでしょうか。」

すると黒岩先生は、首を横に振った。

「調度、奨学金を受けたい生徒がいるかと、学校に相談がきていてね。君を推薦しよう。」