そんな時間も、長くは続かなかった。


彩加に打ち明けてから数日後に夏休みに入り、あの教室の雰囲気から解放されたことにホッとしていた。


夏休みが終わるのは怖くてたまらなかったけど、とりあえず一ヶ月は教室に行かなくてもいい。


その事実は私の心を軽くしてくれたし、もしかしたら二学期にはいじめがなくなっているかもしれないという淡い期待もあった。


だから、週二回の美術部の活動を休むことなくお盆休み前の引退まで頑張り、それ以外は塾や家で受験勉強に励んだ。


家から一番近い高校に進学するつもりだった私と彩加は、引退がもう少し先だった彼女の部活が休みの日にはお互いの家で夏休みの課題と受験のための勉強会を開いたりもして、わりと充実していたと思う。


その時には『ふたりで同じ高校に行こうね』と口癖のように言い合い、二学期への不安を感じながらも来年の春への期待に胸を膨らませていた。


だけど……。


お盆の頃から少しずつ彩加からの連絡が減り始め、それから一週間もするとまったく返事が来なくなってしまった。


母方の田舎に行くと言っていたから忙しいのかと思っていたけど、彼女がこんなにも連絡をくれなかったことは今までに一度もなくて、次第に不安が大きくなっていった。