程なくして、彩加は先生や両親に相談することを勧めてくれたけど、私は首を横に振った。


先生に話していじめがひどくなるのが怖かったし、仕事で忙しい両親にはいじめられていることなんて知られたくなかった。


それに、いじめと言っても、無視をされているのと教室内であの四人に悪口を言われることばかりで、テレビやネットで知った状況と比べればずっとマシだと思っていた。


暴力をふるわれることも、教科書を破かれたり物を隠されたりすることもなかったし、グループラインなんかではもっとひどい悪口が交わされているのかもしれないけど、今のところは私自身がそれを感じていない。


なによりも、彩加がいてくれる。


クラスで孤立していることも無視や悪口もつらいけど、彼女は私のことを心配してくれている。


初めて人に打ち明けることができて少しだけラクになったというのもあったのか、クラスメイトたちから無視されていてもたったひとりの理解者がいるだけで心強く思えたのだ。


「わかった。千帆が嫌なら言わないよ。でも、私は千帆の味方だから」


彩加の言葉は涙が止まらなくなるほど嬉しくて、彼女だけは味方でいてくれると思うともう少しくらいなら頑張れるような気がした。


それなのに……。