校門を出てから、おれの家にも入野あかねの家にも向かわない右へ曲がった。

数分歩いた先に小さな公園があった。

「ここで話しましょう」と入野あかねはその公園に入った。

トイレの近くにあるベンチに腰を下ろす。

おれも彼女の隣に座った。

「ここならトイレもすぐそばにあるのだし、紫藤 廉が話の途中に漏らすということもないでしょう」

「貴様本当に冗談が通じないんだな」


入野あかねは短い沈黙を「ちょっと待ってて」と破り、腰を上げた。

「飲み物を買ってくる。紫藤 廉はなにか飲む?」

「いや、いい。持ってるし」

「……そう」

金ならあるわよと言う入野あかねへ、なんの自慢だよと呟く。

別に自慢のつもりなどなかったけどと返され、聞こえるんだと苦笑する。