翌日の休日、おれは当然のように宮原といた。

賽銭箱の前、段に腰を下ろす。


「いやあ、今日も寒いね」

ぼんやりと数メートル先の地面を眺め、おれは言った。

「だからおれは家でゲームやろうぜって言ったじゃんか」

宮原は笑いながら言った。

「本当、まじで寒いわ」

「でもさ、あの黒猫に会いたくね?」

「おれ別に黒猫に興味ないし」

「そう言うなよ。幸せの象徴だよ?」

「まあそうらしいけど」

「いいじゃん。ゲーム機は持ってきたんだ、ゲームやろうぜ」

おれは言いながら、ジーンズに付いている大きなポケットからゲーム機を取り出した。

「部屋を暖かくしてくれる暖房器具というものが存在するこの現代で、なにが悲しくてこのくそ寒い中ゲームするんだよ」

宮原は不満げに言いながらも、小さなショルダーバッグからゲーム機を取り出した。

「まあいいや。やると決まったらもう、今日という今日こそは負けねえからな」

「ああ。今日という今日こそはおれを楽しませてくれよ」

おれはアクション映画の主人公の台詞で印象に残っているものを並べた。