惣菜パンをスポーツドリンクで流し込む形で腹に収め、おれは宮原が自席へ戻ったあとに机に伏せた。
「男のくせに本当に体力ないのね」
不意に降ってきた入野あかねの声に頭を上げる。
入野あかねは僅かに口角を上げ、腕を組んでいた。
「ああねえさ、体力。ただ貴様に迷惑は掛けていない」
「ええ、そうね。確かに迷惑は掛けられていないわ。しかし、心配でならないわ」
「安心しろ。別に死ぬようなものではない」
「そうじゃなくて。紫藤 廉が死のうと生きようとわたしには関係ない」
「貴様、言葉には気をつけろ。下手をすればいじめっ子に見られかねないぞ」
「別に紫藤 廉をいじめても誰もなにも思わないでしょう」
やべ、とおれは苦笑した。
「おれ本気でいじめられてるかも」
「冗談よ。紫藤 廉に死なれては困るし、誰かにいじめられて紫藤 廉が変わってしまったら、わたしが紫藤 廉の敵を討つ」
「おやおや。いつの間におれは入野あかねにこれほど愛されていたんだ」
「別に愛してなどいない。これは事実よ。ただ、紫藤 廉――あなた、わたしを救うと言ったわよね」
「ああ、言ったよ。それは事実だし、本気だ」
「信じていいのかしら」
「むしろ信じてくれなければ困る。ここから先に進めないからね」
「そう……。じゃあ、紫藤 廉はどうやってわたしを救ってくれると言うの?」
「だから、それは――」
そうじゃなくて、と入野あかねはおれの言葉を遮った。