昼休み、おれは机に体を預けた。
宮原の静かな声に呼ばれ、重たい頭を上げる。
彼の困ったような笑顔が視界に現れた。
「大丈夫かい?」
はいこれ、と宮原はおれの机に惣菜パンとスポーツドリンクを置いた。
「こんなに買えるほど渡したか?」
「廉くんは二百円って言ってたけど、三百円だった」
「そうか。悪いな。残ったか?」
「ああ、うん。充分にね」
「五十円も残らなかったろう」
「大丈夫だよ。残ったお金で、自販機で飲み物を百円で買えるんだから」
それより本当に貰っていいのかいと言う宮原へ、当然だと返す。
四時間目の体育に完全に体力を奪われ、宮原に売店で目に入ったものを買ってきてもらったのだ。
金を渡し、買い物で残った分は礼だと言った。
まさか礼となる金額が五十円を下回るとは思わなかったが、宮原は充分だと言う。