おちゃまるとの散歩では、土曜日は走り、日曜日は終始ゆっくりと歩いた。
月曜日、おれは入野あかねに会わない時間に昇降口へ入った。
生徒はほとんどいない。
おれは上履きに履き替え、自分の名札のようなものが貼られた扉に額を当てた。
小さく「やばい」とこぼす。
本当に体力がなくなったと再確認する。
体が土曜日におちゃまると走ったことを引きずっているのか、今朝目を覚ましたのは普段よりも少し遅かった。
父親から一つもらったロールパンで朝食を済ませ、他のことも済ませると走って家を出た。
今の体はそれを引きずっている。
家から学校までは徒歩二十分ほどだ。
いくら体力が落ちたとはいえ、最初の少しを走ったくらいで学校に着くまでそれを引きずることはないと思いたかった。
しかし実際の体はそうではなかったようだった。
「最悪……」
小さくこぼした本音にため息を重ねる。
今日は魔の体育があるというのに朝っぱらからこの様かと腹の中にこぼす。
「ちょっと。馬鹿紫藤 廉、邪魔」
聞き慣れた声に顔を上げ振り返ると、入野あかねがいた。