宮原はいつか、おれが入野あかねに関心を抱いている理由を問うた。

おれは社長令嬢というものはおれとは違う世界観に生きているはずであり、

聞ける話は面白いものであるはずだというのを理由として答えたが、

実際は彼女がなんらかの大きな不満を抱いているように思えたためだ。

入野あかねは、なにゆえにそれほど他人のことに尽力するのだと問うた。

おれは今の自分がすべきことであるように思えるからだと答えた。

それは紛れもない事実だ。

自分が、過去に存在を疑った神であるという感覚を無駄にしたくなかった。

自分を神だと思い込んでおきながら何一つとして人のためになることをしないというのはいかがなものかと思った。

神様のいたずらという言葉をよく聞くが、そのいたずらに抗えるのは今のおれくらいだと思っている。

他人に話せば、頭のおかしいやつだと言われるだろう。

しかし、その頭のおかしいやつが今のおれなのである。