「仮に望む力が手に入るとして、宮原は具体的にどんな力が欲しいんだ?」
「そうだなあ……。やっぱり、人を操ることのできる力、かな」
「やっぱり最低だな」
違う違う、と宮原は両手を振る。
「もしもそんなことができたら、争いも起こらなくなりそうじゃない」
「ああ……なるほど。でも絶対に何度かは悪用するよな」
「やっぱりそういうものなのかなあ……」
宮原は腕を組み、ため息をついた。
「だから人間にはそういうものがないんだろう」
「じゃあ、時が経って人間が今のそれとなにもかも違うようになったら、異能力も当然のようにすべての人間に備わるのかな」
「さあ……」
「じゃあ、僕も来世では異能力者である可能性があると」
「さあ……」
よくもまあそんな非現実的なことを真剣に考えられるな、と言おうとしたが、昨夜の自分を思い出すと口にはできなかった。