「その考案者というのはもちろんおれではない。おれは痛いのが嫌いである上にピアスに興味などなかった。
当時あの場にいたのはおれを含め三人。そのうち一人は、おれにボードゲームで幾度も負けた者だ。彼はおれがカードゲームが苦手であることを知っている。
彼はまずおれが負けると考えただろう。当然のように、その男はもう一人の男の提案に賛成した」
「廉くん、逃げられないと」
「そういうことになるね。考案者自身がゲームで負けるという可能性もないことはなかったが、極めて低かった。
おれが、誰もが驚愕するほどカードゲームに弱いからだ。
反対に、おれにボードゲームで幾度も負けた男はカードゲームには非常に強かった」
「最強と平均と最弱……」
「当然、その中で最弱に分類されるおれは完敗した」
「で、その左耳に……」
「ご名答」
おれは小さく手を叩いた。
「罰ゲームの内容は、一か月間ピアスホールとピアスの存在に気づかれなければいいというものだった。
そこで、一か月隠した後、おれは罰ゲームをなかったことにしようとファーストピアスを外そうとした。そこで、だ」
「そこで……?」
宮原は不安げに言った。