県立第三高等学校――通称三高(さんこう)。
学力の程度は中の上辺りの者が多いその学校での生活は、至極平凡なものである。
幼稚園から中学校卒業までをともに過ごした宮原とは、学力の差が大きく別の高校へ進んだ。
高校入学から程なくして友人という言葉が相応しい仲になった男子生徒がおり、
彼の名字も宮原であった。下の名前も幼なじみの宮原と一音、一文字違いだった。
高校入学からの宮原との関係を絶たない限り幼なじみの宮原の存在が消えることは決してないが、幼なじみの宮原と別れた小さな寂しさのようなものはすぐに消えた。
性格は、心のどこかで高校入学からの宮原との方が合うように思っている。
なにせ彼の母親も中国人である。
彼との距離が縮んだ一番の要因はそれであると考えている。
悩みやその種となる経験は、同じことを体験した者でなければ理解するのは容易いことではない。