何時間待っただろうか。

高い位置にあった太陽は、いつの間にか辺りを橙色に染めている。

声を上げたくなったが、飲み込んでカメラを構え、シャッターを切った。

写し方を変えて何度もボタンを押す。


日中、わたしは体を丸めて眠る姿の黒猫のぬいぐるみを外に置いた。

そこへ小鳥がくるのをひたすら待っていた。

現在、参加作品を募集している写真コンテストがある。

それに応募するための写真を撮影するためだ。


黒猫の背中から雀が飛び立つまで、わたしはボタンを押し続けた。

撮影した写真を確認する。

八枚目の写真が個人的に気に入った。

その写真は雀のいる位置のせいか、雀が黒猫へ話し掛けているようにも見える。

この黒猫と雀は、廉とわたしだ。