試行の結果、隣の席の男子生徒のボールペンも落下した。
男子生徒本人は、ボールペンは普通にしていたら落ちてしまったと言っていた。
神であるという自覚は本物なのだろうかと期待する反面、あまりに非現実的であると考える自分がいる。
宮原と校門までを歩く間、彼の提案で数メートル先を歩く女子生徒と、彼女のすぐ隣を歩く女子生徒を軽くぶつからせた。
それを見た直後、宮原は大げさなほどに噴き出した。
「まじでうけるんだけど。本当にぶつかったぜ、あの二人」
「いや……偶然だろ、普通に考えて」
「なんだよ。自分が神だとか思ってるのは廉自身なんだぜ?」
「まあそうはそうなんだけど……」
「なんだよ廉。なにが嫌なんだよ。もし本当に神だったら最高じゃねえか。世の中全部、なにもかも思い通りだぜ」
「いや……それはそれで複雑だけどな。それに、おれは別に自分が神でありたいわけではない。いろんな感覚が繋がったとき、なんとなくこの新たな感覚が浮かんできただけだ」
「なんだよ、それ。ただただ廉が不思議なやつだって感覚が強まっただけなんだけど」
「これに関してはおれも困惑してる」
「ふうん……」
「だって考えてもみろよ。ある日突然、自分が神なのではないかという感覚が芽生えてるんだぞ。怖くねえか」
「まあ……。でもあまりに非日常的すぎて」
「確かに、まあそうだよな」
おれは言ったあと、宮原が躓くことを念じた。
これまでの試行と同程度の時間が経ってから、宮原はなにかに躓いて立ち直った。