「廉くん、廉くん。もしもーし。……帰ってこーい」
目開けたまま寝てるのかなという宮原の呟きではっとした。
「やっと帰ってきた。今日ずっとぼんやりしてるよ。大丈夫?」
「ああ、大丈夫……」
宮原ははあと息をつき、ビニール袋をおれの机に置いた。
「昼食だ。残った五十円はちょうだいするよ」
「残った?」
「なんか買いに行くよって言ったら、廉くん、なにか適当なもの買ってきてくれって四百円よこしたでしょう」
「……ああ、そうか。悪い、ありがとう」
「別にいいけど……」
宮原は言ったあと、自席から椅子を持ってきた。
「なにかあったのかい? 寝不足? 悩みごと?」
「考えごと、願いごと、寝不足」
なんかいっぱい、と宮原は苦笑した。
「なにを考えて願ってるの?」
「利己的なことだ」
「へえ。廉くんが自分のことでそれまで考え込むとは、大事のようだね」
「おれはいつだって自分のことしか考えてないよ」
廉くんがそうなら僕はどうなるんだと宮原は苦笑した。
おれは宮原が持ってきたビニール袋の中身を取り出した。
おれが頻繁に購入している惣菜パンと飲み物だった。
おれはパンを開封し、空いた隣の席へ目をやった。
そろそろ面白くなってくるわよ、神様――。
昨日の別れ際、笑顔で並べられた言葉が頭から離れない。