「おちゃまる。おちゃまるはびっくりしたことってある? おれはさっき。心臓止まるかと思った。本当、もっと早く知りたかったよ」

「おちゃまるさんはあんたのくだらない相談を聞くためのお方じゃないんだよ」

つまらない話を聞かせないでと言う母親へおれは苦笑する。

「今日もきついなあ。ど正論ゆえに反論もできないし」

ねえおちゃまる、と愛らしいふわふわな体を撫でる。


入野の言動の意味と自分の気持ちに、もっと早く気づきたかった。

入野の方は絶対とは思わないようにするが、入野への自分の気持ちはわかった。

おれは入野が好きだ。それは恋愛感情である。

しかし、入野への恋愛感情を自覚したところでどうするかと考える。

彼女には許婚の存在がある。