宮原ははあと息をついた。
「本当、なんでわからないかなあ」
「何度も言っているだろう、わからないものはわからない、わからないものをわかろうとすることが間違ってるんだよ」
「廉くんは人様の思いをわかろうと思わないのかい?」
「思いと言われてもなあ……。やっぱりわからないし」
「もう……。日本の男なら、女の子を泣かせちゃいけないよ」
「おれは日本人ではない」
うわあ、と宮原は嫌な顔をした。
「まったくこんなときばっかり。中国には廉くんよりまともな人だっている」
「ああ、中国人の性格ならおれもよく知っている。宮原よりまともな人もいる」
「僕のこの性格は国のせいじゃないよ。生まれ持ったものだ」
「決して威張れるようなことではないがな」
「本当、僕は時々自分の性格のきつさに驚くことがあるよ」
「そうか? おれはそこまできついと思ったことはないけど」
宮原は「そう?」と笑った。
「そんなことを言ってくれるのは廉くんくらいだよ」
馬鹿だからかなと続ける彼へうるせえよと笑い返す。