昼食中、宮原は深いため息をついた。

「ありえない、ありえなすぎる。馬鹿だ、本当に馬鹿だ」

「……宮原までそこまで言うか」

「廉くん本当に馬鹿なんだもん。本当、何度言っても言い表せやしないよ。なんでわからないんだ。いや、なんでそんなにわからずにいられるんだ」

「わからないものはわからないんだって」

「もう、馬鹿の範疇を超えた馬鹿だよね。僕もおのっさんもわかるんだよ、入野さんが言いたいこと。それをなんで廉くんがわからないかね……。勉強では僕よりできる分野もあるのに」

「勉強と感性は違うだろう」

「確かに別物だと理解はしていたけど。あまりに違いすぎて驚いたよ」

宮原はねっとりと並べ、惣菜パンをかじった。

「今朝の入野さんとの会話は覚えているかい?」

「まあ、まだ寝てもないしな」

「寝ても覚えててよ。で、今朝の会話を覚えているのにわからないのかい?」

「入野の言いたいことだろう? わからない」

「もう、頭おかしいよ廉くん」

宮原はペットボトルの中身を飲み、はあと息をついた。