「なあ、宮原」
昼休み、おれは自席に伏せる彼の頭を指でつついた。
反応のない彼の頭を、今度は親指から弾いた中指で叩いた。
いたっ、と声を漏らし、宮原はおれの叩いた箇所を押さえて顔を上げた。
「ちょい廉。お前デコピンくそうまいんだからさ、加減をしようよ、加減を」
「だって宮原が起きてくれないんだもん」
大げさに口を尖らせて言うと、宮原は「いやかわいくないし」と表情を変えずに返した。
「ところでさ、宮原って自分が神だと思ったことってある?」
宮原は「デコピンがまだ痛い」と呟いた後、ゆっくりとその箇所から手を離し、「あるわけねえだろ」と答えた。
「えっ、なに廉、患ったのか?」
「いや……認めたくはないが。そうなのかな」
「いや自分が神だと思っちゃうとか、すでに結構な重症だし」
「待て待て。おれがそう思うようになったのはつい最近だぞ」
「待っても急かしても、重症だって」
「なに、おれはいきなり重症のを患ったってわけか?」
「いやあ……わかんねえけど」
そうなんじゃねえの、と宮原は笑った。