長い沈黙の末、この対極は引き分けとなった。
おのっさんは「ふうん」と唸った。
「結構強いんだな」
「おのっさんもそこそこだったよ」
「廉くんが引き分けだなんてすごいよ。さすがおのっさん」
宮原は楽しそうに言った。
「宮原はぶっちゃけどっちが勝つと思った?」
おのっさんが言った。
「正直……おのっさんかな。勝つと思ったのはね。ただ、勝ってほしかったのは廉くん」
「へえ」
「あのう……」
おれは小さく手を上げた。
「もう一回相手してくれないかな」
おお、と宮原が驚いたような声を上げる。
「廉くん、僕が知る限り、この言葉を言ったのはこれが初だよ。言わせたのはもう数え切れないほどらしいけど」
へえ、とおのっさんは笑った。
「おもしれえ、付き合おう」
ぜってえ負けねえからなと言う彼へ、それはこっちの台詞だと返す。
「すごいすごい、級も段も持っていない最強コンビが本気の対局。すっかり遊びの雰囲気はなくなっちゃったね」
見ているだけでも面白いよと宮原は笑った。