「宮原お前いつからいた」

「別に？　ついさっきさ。入野さんがかわいいこと言ってた頃」

「あいつ、本当に変わってるよな」

「はあ？」

「入野のやつ。不思議なやつだよな」

「そうじゃないでしょう」

廉くん僕より頭空っぽなんじゃないのと宮原は続けた。

「あの言葉の意味なら僕にだってわかる」

「どういう意味だ」

「廉くんからもてたいって言ってるんだよ？」

「もてるというのは多数の異性に好かれるということだろう？　おれはそんなに何人もはいない」

この大馬鹿者、と宮原はおれの頭を叩いた。

「なんでわからないんだ。別に僕は入野さんに特別な感情なんて抱いてないけど、同情するよ」

「えっ、おれそんなにひどいことしたか？」

「ひどいって言うかもう……」

宮原は小さく苦笑した。

「廉くんほどにまでなると、いっそ面白いね」

まったくと呟き、宮原は自席へ向かった。