「で、まあ結局今闘うと」
「ええ、そうね。で、どうしたらいいの? 紫藤はまだ助けてはくれないんでしょう?」
「神は残酷だからな」と返すと、入野あかねは大げさなほどに噴き出した。
あはははと豪快な笑い声が続く。
「はあ、面白い。神様なんだもんね、紫藤は」
「貴様も信じてたろうが。だから今、おれに助けを乞うている」
「まあそうなんだけど。改めて考えたら面白すぎるでしょう。普通の男子高校生が神様って」
ぶはははと楽しそうな笑い声が続く。
「うるせえ、改めて考えるな馬鹿」
「だったら改めて考えてしまう鍵となるようなこと言わないでよ」
「しかしうるさい女だな。その勢いで、会社は継がずに写真家になるんだと語ればほとんどの人間が黙りそうなものだけどな」
「わたしはお父さんには逆らえないの」
「なぜだ」
入野あかねの静かな声に、おれは真剣に問うた。