帰宅後、おれは「おちゃまるさんの散歩行ってきて」という母親の言葉に従い、着替えを済ませて必要なものを手におちゃまると家を出た。

おちゃまると歩きながら鍵を服の中に入れる。


調子に乗って走れば、やはり二十分も経たないうちに持久力のなさを再確認した。


「よし、かわいい肉球が強調されたね。おつかれ、おちゃまる」

綺麗になったよとおちゃまるの体を撫でる。

戻ろうかと脱衣所を出たとき、ジーンズのポケットに入れた携帯電話が振動した。

入野あかねからのメールを受信したものだった。

「やっぱり全然取り合ってもらえない」という文字のあと、苦笑する絵文字が添えられている。

「入野あかねも親父さんもどんな感じなんだ?」と返信する。


おちゃまるをリビングへ帰し、母親に「部屋にいる」と伝えてリビングを離れた。