「だって、紫藤 廉って中国人なんでしょう?」

「……実際は母親が中国人なのだが、なんでそれを知っている」

「だって、いつかに宮原くんと話していたじゃない、そんなことを。彼も同じみたいよね」

「貴様なに人の話盗み聞いてんだよ」

「別にそんなことをするつもりはなかったわよ。紫藤 廉たちの会話の内容になんて興味ないし。

ただ、中国にルーツがあるなら、日本では想像もつかない素敵な技術の塊のようなものを持っていても不思議ではないなと思ってね。中国って、そういうものの発達がすごいじゃない」

「そうなのか」

入野あかねは苦笑した。

「なんで日本にしかいたことのないわたしよりも中国人の母親を持つあなたの方が中国に疎いのよ」

「まあとにかく。仮に、中国に動物との会話を可能にするような機械があったとしても、おれにはそれを扱うことはできない」

「言い切るわね」

「おれは機械音痴だ」

「だからどこにそれほど威張れるような要素があるのよ」

入野あかねは深いため息を続けた。