「そして、罰ゲームの期間が終わって早々に、おれはピアスを外し、ホールを塞いで罰ゲームをなかったことにしようと考えた」
「ようやくまともに近い思考が働いたわね」
「しかし、ファーストピアスを外した直後、激しい胸痛に襲われ、意識を失った」
「……はあ?」
入野あかねは意味がわからないとでも言いたげな声を出した。
「なんか初めて貴様から共感できる相槌が飛んできた気がする」
それで、と話を戻す。
「目を覚ましたときには、罰ゲームをなかったことにしようと考えたおれの行動こそがなかったことになっていた」
「それは災難だったわね」
「で、後に二度目の挑戦をした。しかしそのときには、ホールを塞ぐのがもったいないと感じるようになっていた」
本当に馬鹿、と入野あかねは目元を覆った。
「で、無事に外せたそのとき、おれはセカンドピアスを着けた」
「本当に救いようのない愚者ね」
「まあな。なにせ空の頭の持ち主だ」
どこにそれほど威張れる要素があるの、と入野あかねは呟いた。
声から心底そう思っているのが感じられた。