「ピアスホールを空けるのが、その日のカードゲームでの罰ゲームだったのだが、その内容はピアスホールを空けてから一か月の間、学校の者にホールとファーストピアスの存在を知られなければいいというものだった」
「へえ。なんだか、いかにも紫藤 廉の周りに集まる人が考えるような内容ね」
「うるせえ。おれを軽蔑するのは構わないが矛先を友人には向けるな」
「本当、紫藤 廉って根は優しいわよね」
それはどうもと返し、おれは咳払いをした。
「それで一か月の間、手入れの方法などを教わるために罰ゲームの内容を伝えた母親を除く、身の回りの人間誰一人にホールやピアスの存在を気づかれることはなかった」
「へえ。お母さんなにも言わなかったの?」
「まあ、もう空いているわけだし、言っても仕方ないと思ったのだろう」
「それにしても、早めに外して塞ぐとか、いろいろと方法はあったでしょう」
「まあうちの母親、基本的にいろいろと自己責任でっていうところあるし。ていうかこれは過去の話だ、いちいち気になるところに突っかかるな」
「でも、あまりに――」
「うっせえうっせえ。おれは貴様から見たら異常な人間なんだ、そう割り切れ」
難しいこと言うわねと呟く入野あかねへ、そうでなければ今日中に話が終わらないぞと返す。