「昨日にも言ったが、おれは神だ」

少しの静寂のあと、入野あかねは耐えられないといった様子で噴き出した。

あはははと声を上げて笑う。

「わたし、紫藤 廉のそれ好きなの。本当に面白い」

「人を楽しませられるのは嬉しいことだが、おれは本気だ」

「へええ。じゃあ、なにかすごいことができるっていうの?」

「まあ……それなりのことならできる。ああ、今日は入野あかねへすべてを話すつもりでいる。この“それなりのこと”の内容が気になるなら訊け」

じゃあお言葉に甘えて、と入野あかねは言った。

「ああ。今のおれは、念じたことが必ず現実になる。現実になるまでの時間は内容によって変わる」

「へえ。じゃあわたしの将来も、紫藤 廉のその能力のようなものを使えば、易易と変えることができるということね?」

「ああ、そうだ。だが、今はそうしない」

入野あかねは一瞬眉を寄せ、ゆっくりとこちらを向いた。