その後、三度連続でおれのゲーム機に「勝」の一文字が表示された。

「はあ、まじで悔しい。廉なんでそんな強いんだよ。もうあれだ、お前プロになれ」

「そこまで褒めてくれるのは嬉しいけど、おれが強いんじゃなくて宮原が弱いんだと思うよ」

「廉、貴様ぱっと聞き優しい言葉で言えばなにを言おうと許されるだなんて思うなよ」

「ぱっと聞きすら優しい言葉に直せない宮原には言われたくないよ」

「廉お前、日本語の操り方もプロかよ」

「物は言いよう――。母さんの好きな日本語の一つ。同じことでも言い方や言葉によって相手への伝わり方はいくらでも変わるからね」

「なんか、なんか言葉にできないほどの悔しさが……」

「ならば宮原には日本への愛が足りないのかもしれないね」

「お前本当にむかつくな」と笑う宮原へ、「おれをどう思おうと構わないけどおれのせいで中国を嫌いになるのはやめてね」と笑い返す。

「おれのこの性格はおれ自身が持って生まれたものだ。国は関係ない」

「はいはい。おれはお前のその穏やかすぎる性格に劣等感を感じるだけだよ」

宮原は深いため息を続けた。

「なんで宮原が劣等感を感じるんだ?」

「廉が穏やかすぎるからだよ」

「おれには別に、宮原が荒ぶってるようには見えないけどな」

「そうじゃなくてさ。まあうまく言えないけど、廉みたいな人を見てるとなんかいろんなところで負けてる気がするんだよ」

「なんか複雑だね」と返すと、宮原は苦笑した。

「えっ、なに。怒った?」

「いいや」

ならいいけどと返し、おれはぼんやりと前方を眺めた。