ユキの計画は順調に進み、ハンバーグも焦げ目がついていい感じに焼けていた。

 付け合せに、にんじんのグラッセとスチームしたブロッコリーを添えると、彩りよく見るからに美味しそうに見える。

 ハンバーグの上にはデミグラスソース。

 これは缶詰の中身を温めただけだが、この光沢のあるソースですっぽりとハンバーグを覆えば、玉ねぎが完全にわからなくなる。

 缶詰のラベルを見ればデミグラスソースにも玉ねぎが溶け込んでいる。

 これで二重に玉ねぎの美味しさを分かってもらえるに違いない。

 ユキは慎重になりながら、レストランに出しても恥ずかしくないくらいに、お皿に綺麗に盛り付けしていた。

 廊下に顔を出し、大きな声で「ご飯できたよ」と叫ぶ。

 トイラとキースはそれを合図に部屋から出てきた。

 ユキの心臓がドキドキとして、ふたりがご飯を食べてくれるのが待ちきれないでいる。

 ふたりがユキの前に現れると、ユキの顔がにやけて仕方がなかった。

 「お待たせ。お腹空いたでしょ」

 冷静さを装おうとすればするほど笑いがこみ上げてくる。

「なんか、ユキ、変」

 キースが言った。そして、部屋の匂いをくんくんと嗅いで、目をショボショボさせている。

「ほらほら、早くテーブルについて」

 テーブルの上には見栄えよく、料理が用意されている。

 それは美味しそうに見えるが、キースは懐疑心を抱いて露骨にいやな顔をしている。

 トイラは黙ってテーブルにつき、お皿の上の料理をじっと見つめていた。

「さあ、食べて食べて」

 ユキが催促するが、ふたりは手をつけようとしない。

 キースはトイラに振り向いて、どうすればいいのか目で訴える。

 トイラはキースの視線も気にせずじっと料理を見つめていた。