「まだここに来て間もないのに、姿を見られたみたいだね」

 コンピュータ画面を見ながらキースが言った。

「まだ写真には撮られてないのがせめてもの救いだ。俺たちの動きが早くて撮れるわけがないけどな」

 トイラも軽く答える。

「でもいつか、それが噂になって広がっていくだろうね。僕たちの正体がバレたらどうする?」

「その時はその時さ。それまでにさっさと片付けてやる」

「奴は今、どこにいるんだろう?」

 キースが顔を上げトイラを見つめた。

「もうここに来てると思うべきだろう。この辺りの山や森が奴と通じたのなら、俺たちの気配にとうに気がついててもおかしくない」

「今は様子を見ているってことか?」

「また必ず何かを仕掛けてくるはずだ」

 トイラはふーっと息を吐いた。

「すでに二度仕掛けられた。次はどんな手を使うつもりだろう。その辺を歩き回れる犬や猫はすでに僕たちが利用しているし、この辺りの動物を調べたけど、不思議と見当たらなかった。警戒して僕たちから隠れてるみたいだ」

「だから、奴もカラスやスズメしか使えなかったと言うわけか。それじゃ次は本人が来るかもしれない」

 トイラの瞳が鋭く光る。

「まさか、そんなに早く攻めてくるだろうか」

「まさにそこが奴の思う壺なところだ。俺たちの隙をついて来る。くそっ、来るなら来い。八つ裂きにしてやる」

 トイラは過去の出来事を思い出して気が立ってピリピリとしていた。