トイラとキースが書斎に居る間、ユキはチャンスとばかりに玉ねぎを取り出す。

 形が見えるから避けるわけで、形をなくして玉葱が入ってるようには見えないものを作ればいい。

 そう思うと、料理する意欲が湧いて、皮をむいた玉葱にきらりと光る包丁を振りかざし、勢いよく切っていた。

 トイラとキースが台所に入ってこないかドキドキしながら、細かく切っていく。

 目が痛く、泣き顔になってしまうけど、鼻をぐずりながらユキは玉ねぎのみじん切りに精を出していた。

 それを熱したフライパンでよく炒める。

 ユキはハンバーグを作ろうとしていた。

 キースはお肉が好みだし、玉ねぎが入っていてもこれなら食べてくれるだろう。

 ハンバーグも玉ねぎの甘みが出て、きっとおいしいに違いない。

 ユキはふたりが、玉ねぎ入りのハンバーグを騙されて食べて、おいしいと言ってくれるのを期待していた。
  

 そんなユキの企みも知らず、トイラとキースはインターネットで検索した地図を見ながら対策を練っていた。