「ねぇ、ユキ。この辺りの地図もってない?」

 テーブルの上に置いたスーパーの袋から食材を取り出し、ユキが冷蔵庫に入れようとしていた時、キースが大事なことのように聞いてくる。

「地図? あったかな。トイラ、それ冷蔵庫に入れておいて」

 トイラが冷蔵庫に食材を詰め込んでいる間、ユキは引き出しやクローゼットを開けてくまなく探してみるが見つからない。

「あっ、そうだ。父の書斎に行けばいい」 

 ユキがひらめく。

 トイラとキースをつれて書斎へ向かった。

 壁に設置された本棚に本がたくさん並んだ部屋。
 書類が無造作につまれたままの机が窓際にあり、そこにコンピュータも乗せてあった。

 ユキは椅子に座って書類をどかし、コンピューターの電源を入れ、インターネットに接続する。

 トイラとキースはユキのすることを黙って見ていた。

「ネットで見るのが一番いいよ」

 キーボードをカチャカチャと鳴らして、この町の名前を検索する。

 地図を出すだけだったが、この町の事が書かれたブログを見つけて、ユキはついマウスを動かしクリックしてしまった。