仁はとりとめもなく、口を動かしていた。ユキが質問すれば丁寧に答えが返ってくるし、はにかんだ笑顔がかわいい。

 まだ少年らしいあどけなさがあるけど、真面目に見えるところはかしこそうで品がある。

 背丈も結構あって、すっとした感じが悪くない。

 話が途切れると落ち着かなさそうに笑ってごまかすが、それが愛嬌あって好感もてた。

「春日さんのところに、この間転校してきた留学生が二人住んでいるんでしょ。もしかしてご飯の支度は春日さんがやってるの?」

「うん、そうだけど」

「へぇ、すごい。料理得意なんだ」

「結構ね」

 ユキはこういうときは謙遜しない。

 できることはできるとはっきり言う。
 仁は素直に尊敬のまなざしを向けていた。

 これがマリや自分を嫌っている人ならば、生意気さを感じるのかもしれない。

 仁が意味していたのはこういうことなのかもとユキは思っていた。

 ゆっくりと歩いているうちに、辺りは薄暗さが増してきた。
 空には星がポツポツ見え始めていた。

「こんなところに神社があるんだね」

 仁が興味深く見ていた。