所詮、虐めの問題を相談したところで、助けてくれそうもないのがトイラに伝わり、ふんっと不機嫌に座り込んだ。

 授業は機械的に続いていく。

 英語教師のへたくそな発音がトイラには耳障りでならなかった。

「トイラ、何も授業中にいうことじゃないでしょ。大人しくしてよ」

「センセイ、タスケ ニ ナラナイ」

 トイラは村上先生を睥睨してからプイと窓の外に顔を向けた。

 ユキは手に負えないと呆れてしまう。

 トイラの暴走に振り回されるし、クラスの誰かからは疎まれるし、腹立つやら、悲しいやら、悔しいやら、複雑に感情が絡んで苦しい。

 また胸の奥が熱く、疼きを感じた。

 自分が一人でいたときの方がまだ平和に思えた。

 湧き上がるどうしようもない感情に無性にイライラしてしまい、ユキは八つ当たるようにトイラに向かってキッとにらんでしまった。

 一部始終を見ていたキースは物事が上手く行かない捩れがもどかしく、トイラとユキが仲たがいする度に悲しくなってしまう。

 自分のことのように、こっそりとため息をついていた。