「思いつめるな。助ける方法はきっとある」

 キースに心のうちを読まれていたのが悔しく、トイラは何も答えない。

 一番トイラを理解しているキースだからこそ、物事がよく見えてしまう。
 キースもまたやるせなく、何も見ないふりをしてスタスタと先を行ってしまった。

 キースの気遣いを察したトイラは、それに甘んじてユキを自分に引き寄せ抱きしめる。
 少しでも長くユキに触れていたかった、今だけは。

 ユキの目が覚めれば、また心を押し殺して冷たく接しなければならない。

 ユキに近づけないのなら嫌われた方がいい。
 記憶がないユキを見るのが辛すぎて、自ら何もかも壊してしまう。

「ユキ、今どこにいる」

 記憶を取り戻してほしくても、戻ったときの方がもっと苦しくなる。
 自分でもどうしたいのかトイラにはわからなかった。