トイラとユキは無防備に一糸まとわぬ姿をさらけだす。

 魂と魂の触れ合い──。

 二人の愛は体の中が透けて見えるように熱く赤く燃えていた。

 お互い見つめ合い、寄り添って体を重ね合わせ一つになり、トイラとユキの鼓動が同じリズムを打ち出して、ずれることなくシンクロナイズされる。

 トイラの腕の中で強く強く抱きしめられる程、ユキは跳ね返るような弾力を感じていた。

 トイラはしなやかで柔らかいユキの体がマシュマロを突きつけられているように思えた。
 このままずっと抱きしめあっていたくなるほどの心地良さは、暫し二人に与えられた特別のプレゼントだったのかもしれない。

「トイラ」

 愛しくユキは呟く。

「ユキ、愛してるよ」

「私も愛してるわ、トイラ。私はもうあなたの中に存在しているのね」

「違うよ、ユキは助かるんだよ。もう何も心配することないんだ」

「でも、私はあなたといつまでも一緒にいたい」

「ああ、ユキが望むならそうなるよ」

「えっ、私が望むなら? どういうこと?」

「ユキ、俺はもう黒豹じゃなくなる。この人の姿のままさ」

「トイラ、人間になったの?」

「ユキ、もう目覚めるんだ。みんな心配している」

 トイラの姿が徐々にかすんでいく。

 ユキは必死に掴もうと抱きつくがトイラの体を感じなくなった。

「トイラ、待って、行かないで」

「どこにも行かないさ。俺は君のすぐ傍にいる。すぐ傍に」

 トイラの姿は見えない。

 だがユキには感じる。見えなくともそこにトイラがいるということが。

 必死に辺りを探し回る。

 急激に刺すような強い光が突然 目の前に現れ、ユキは眩しさで目を細めた。

 その光が徐々に和らぎ優しい光となったとき、聞きなれた声を耳にする。

 キースと仁の声だった。