実験室で繰り広げられている派手なバトルは、双方どちらも苦戦し、勝負がつかないでいる。

 明確な武器を持つジークに対し、俊敏に飛びついて鋭利な牙と爪で切り裂くトイラとキース。

 ジークが光線を打てば、トイラとキースは逃げてかわす。

 隙をついてキースがとびかかり、ジークの気をひきつけているうちに、トイラが死角から攻撃する。

 しかしジークはすぐにこうもりになり、トイラからするりと逃げた。

 また離れた場所で人の姿になって光線を向ければ、トイラの体にかすってしまった。

 トイラとキースのどちらも体力を消耗し、動きが鈍くなっている。

 そうなると、ジークに光線を向けられるとトイラとキースは素早くかわすことが難しくなってきた。

 肩で息をするトイラとキース。

 ここらで勝負をつけなければ、このままではトイラとキースもジークの武器でやられてしまう。

 ふたりは同時に飛び掛る。

 キースがジークの足に噛み付き、トイラがジークの背中に飛び乗った。

 バランスを崩したジークは、棚にぶつかり、全ての薬品を落としてしまった。

 ガラス瓶は割れ、薬品同士の混ざり合いで白くもやっと煙が出る。

 ジークが手当たり次第に光線をぶっ放しているときだった。

 こぼれた薬品に引火してしまう。
 火の回りが早く、気がつくと辺りはあっと言う間に炎に包まれていた。

 その炎に気を取られたトイラとキースの隙をついて、ジークはコウモリの姿になって外に滑るように逃げ出した。

「待て、ジーク」

 トイラとキースが後を追おうとしたとき、目の前で炎に包まれた物体が倒れてくる。

 強烈な炎に一瞬怯みジークを取り逃がしてしまった。