動物実験センターと影で呼ばれるその部屋では、トイラとジークの激しいバトルが繰り広げられ、戦場となっていた。
柴山と良子は目の前の光景に唖然としてしまう。
「なんだこりゃ」
「圭太、とにかく早く鍵を」
良子に言われ、柴山はキースのケージを開けてやった。
キースはお礼を言うと、狼の姿でトイラに加担した。
部屋の中は壮絶だった。
あらゆるものがめちゃくちゃに倒され、物はどんどん壊れていく。
雷と地震と台風が一度に発生したように激しく戦いが繰り広げられている。
「ここに居たら危ない。俺達も逃げよう」
柴山は良子を連れて外へ逃げた。
トイラに言われた通り、ユキを連れて仁は森の奥へと入っていく。
「ユキ、大丈夫か」
「うん、少しはましになったわ。でもまだ胸がちくちく痛い」
「まだジークの側だからだ。頑張ってもうちょっと歩こう」
「仁、ちょっと待って」
ユキは立ち止まって、シャツのボタンを外した。
やはり胸のアザがまた大きくなってるのを確認した。
それは十日余の月の大きさだった。
「やっぱり、大きくなってた。あと少しで満月かもしれない」
「ユキ、大丈夫だ。トイラが絶対助けてくれる。ほら、早く歩こう」
「うん、仁、もしも、もしものときは、悲しまないでね。私はトイラの中でちゃんと生きてるから」
「馬鹿なことを言うな。ユキはどこにも行かないよ」
仁は泣きそうな顔になって、ユキを支えて森深く入っていった。
「仁、どこまで森の中へ入っていくの?」
「僕にもわからない。トイラが森へ行けっていうから、きっと何かあるんだろうと思って来たんだ」
そしてユキは遠くに見たことのある光景を目にして、信じられず目をぱちくりとした。
「あっ、あれは、トイラの好きな木だ。どうしてここに」
暗闇の中、ぼうっとあの神秘的な大木が見えた。
ユキは見間違えたかと、目をこすった。
凝らしてみるが、すっとその木は段々姿を消していく。
ユキはその木に消えないでと手を伸ばした瞬間だった、突然上から何かがぶつかってきた。
柴山と良子は目の前の光景に唖然としてしまう。
「なんだこりゃ」
「圭太、とにかく早く鍵を」
良子に言われ、柴山はキースのケージを開けてやった。
キースはお礼を言うと、狼の姿でトイラに加担した。
部屋の中は壮絶だった。
あらゆるものがめちゃくちゃに倒され、物はどんどん壊れていく。
雷と地震と台風が一度に発生したように激しく戦いが繰り広げられている。
「ここに居たら危ない。俺達も逃げよう」
柴山は良子を連れて外へ逃げた。
トイラに言われた通り、ユキを連れて仁は森の奥へと入っていく。
「ユキ、大丈夫か」
「うん、少しはましになったわ。でもまだ胸がちくちく痛い」
「まだジークの側だからだ。頑張ってもうちょっと歩こう」
「仁、ちょっと待って」
ユキは立ち止まって、シャツのボタンを外した。
やはり胸のアザがまた大きくなってるのを確認した。
それは十日余の月の大きさだった。
「やっぱり、大きくなってた。あと少しで満月かもしれない」
「ユキ、大丈夫だ。トイラが絶対助けてくれる。ほら、早く歩こう」
「うん、仁、もしも、もしものときは、悲しまないでね。私はトイラの中でちゃんと生きてるから」
「馬鹿なことを言うな。ユキはどこにも行かないよ」
仁は泣きそうな顔になって、ユキを支えて森深く入っていった。
「仁、どこまで森の中へ入っていくの?」
「僕にもわからない。トイラが森へ行けっていうから、きっと何かあるんだろうと思って来たんだ」
そしてユキは遠くに見たことのある光景を目にして、信じられず目をぱちくりとした。
「あっ、あれは、トイラの好きな木だ。どうしてここに」
暗闇の中、ぼうっとあの神秘的な大木が見えた。
ユキは見間違えたかと、目をこすった。
凝らしてみるが、すっとその木は段々姿を消していく。
ユキはその木に消えないでと手を伸ばした瞬間だった、突然上から何かがぶつかってきた。